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大切なもの


大きくて分厚い作業台。
戦後、裁縫の仕事で家族を支えてきたご両親が使っていたものだそうです。
これを使って、何か使いやすいものに姿を変えて持っておきたいというご相談でした。


一つは、大きなサイズのまま、日曜大工の作業台として。


もう一枚の板は、短く。
一つは奇麗に削りなおして文机に。
もう一つは、丸く切り出して、表面は使い込まれたままに、サイドテーブルにしました。
削ってみると、まだまだ新鮮で奇麗な表情を見せてくれる、とても奇麗な桂の木でした。
でもその表面には、目打ちでできたという無数の小さな穴。
ただ奇麗というのとは違う使われてきた歴史そのもの。

戦後という大変な時代を、この作業台と共に生き抜いてきたご家族の暮らしは、僕には簡単に想像できないけれど、でもその積み重ねをどうにか損なわないように、でも今の暮らしに、お気に入りで、かる~く入りこめるようなものにしたいと思いました。
同時に、家族を支えるということに、自分自身それができてるのかなぁと、我が身を振り返り襟を正す、そんな思いで仕事させていただきました。

気に入って使ってますよ、とお写真をいただいて、ほっとしています。
貴重な体験でした。

ありがとうございました。